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りくのなか

 

みちのくの緑のトンネルを抜けて、陸の中へ分け入っていく。

 

雨が山に落ちて森が育ち、森から湧いた水は川になって海へ向かい、また雨が降る。

すべてが繋がりあうサイクルのなかに、そっと身体を差し入れる。

緑の奥で息を潜め、はるか昔からこの地の人たちが感じてきた “人ならぬもの” の気配に触れたいと願う。

 

雨はやがて雪になり、新しい春がくれば、再び雨になって降り注ぐ。

季節は巡る。すべては陸の中で巡っている。

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