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ロマンスカー

 

東京へ戻るロマンスカーの柔らかなシートに身を沈めながら、静かに呼吸する。

自らの能力を遥かに越えたスピードで

身体が運ばれていく。

 

視覚だけが研ぎすまされ、車窓に目を凝らすけれど、

次第に風景はぼやけ、意味も消えていった。

 

目に映る景色を置き去りにして、意識はゆるやかに身体を離れ、

どこか遠くへ飛んでいく。

 

何かに近づきつつ、何かから遠ざかる。

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